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草木染めを体験しながら環境問題を考えよう!小学生に向けてTHE GOAL SDGsワークショップを開催

ザ・ゴールでは、SDGsにつながるアクションとして、地球の未来を担う子供たちに、ファッションを通して環境問題について考えてもらうワークショップを開催しました。講義を担当するのは、染色クリエイターとして活躍するfutashiba248の関将史さん、裕子さん。農業廃棄物から染色するサステナブルな服作りを行なっているお二人の指導のもとで都内の小学生たちが草木染めに挑戦しました。染色を体験しながら、環境問題について学んだ当日の様子をご紹介します。

玉ねぎの皮を使った草木染めに挑戦

今回、THE GOAL SDGsプロジェクトに参加してくださったのは、江東区立豊洲西小学校の2年生、33名の生徒さんたち。講師を務めるfutashiba248(フタシバ)の関将史さん、裕子さんを元気いっぱいに迎えてくれました。

まずはお二人の自己紹介から。工房のある茨城県からやって来たことを伝えるとさっそく、子供たちからは「いばらき県、知ってるー!」「おじいちゃんが住んでるよー!」の声。フタシバは農業が盛んな茨城県で、出荷できずに廃棄処分となる果物や野菜を染料として活用し、洋服作りを行なっています。実際にこの日、お二人が身にまとっていた洋服も農作物で染めたもの。

ここでさっそく最初のクイズ。「先生が着ている服は何で染めたものでしょうか?」メロン・栗・トマトの3択に、子供たちは洋服の色から想像をふくらませていきます。「正解は栗!」と発表されると、すぐさま「やっぱりー!」などの大歓声。洋服、色、果物や野菜といった身近な話題に興味津々になったところで、本日のメインイベント、ハンカチを染める染色体験のスタートです。

染料のもととなるのは、子供たちが自宅から持参した玉ねぎの皮。水の入った鍋に玉ねぎの皮を入れて煮込み、染液を作ります。煮込んでいる間に、ハンカチの模様をつける下準備。使う道具はビー玉と輪ゴム。模様をつけたいところにビー玉を入れ、てるてる坊主を作る要領で輪ゴムをぐるぐると巻いていきます。大きなビー玉を入れると大きな模様に。ビー玉を使わずに生地をつまむようにして輪ゴムで縛れば、さらに細かな模様になるなど、お手本を見ながらみんなが思い思いにハンカチを縛っていきます。「輪ゴムで縛った部分が染まらずに、模様となって仕上がりますからね!」そんな説明に仕上がりへの期待がどんどん膨らみます。

洋服作りが環境汚染になっている!?

模様付けの準備が済んだところで、当社の牛尾が講師となり、環境問題について学ぶ時間を設けました。伝えたいポイントは「水を大切にしよう」「ゴミを減らそう」のふたつ。まずは「なぜ、水は大切なのか」を考えていきます。地球の70%は海ということもあり、一見、豊富にあるように思える水。でも、地球上にある“水”を浴槽分に例えると、飲料水など人がすぐに使える水はわずかスプーン1杯。その少ない水で、農作物を育てたり、料理に作ったり、シャワーやお風呂、プールにも使わなければなりません。どこかで無駄に水を使い過ぎると、瞬く間に水が足りなくなってしまうのです。

「ちなみに、Tシャツを1枚作るのに牛乳パック2,700本分の水が使われる」という牛尾からの説明に、子供たちは一様に驚きの表情。さらに、「ジーンズを1枚作るのに必要な水は牛乳パック7,500本!」の言葉には、「え゛――――――っ!」という叫びのような声が。

Tシャツを作るのに水が必要なことをこのときはじめて知った生徒も多く、洋服の元になる生地や糸にを作る段階や、色を染めるときにも大量に水が使われることを学んだのです。また、洋服の色付けによって川や湖を汚してしまい、飲み水が無くなってしまった地域が世界にはあることも知らされました。生活するのに必要な洋服によって、同じように生活するのに欠かせない水が無くなってしまう。そうした事実を知ることで、子どもたちの眼差しはいっそう真剣に。

さらに環境問題についても話題が及びました。地球温暖化については「二酸化炭素をいっぱい出して地球が熱くなってしまったから」と、すでにしっかりした知識を持っている生徒も。二酸化炭素の排出量を増やさないためにできることとして、リサイクルするなどして少しでも燃やすゴミを減らすことが必要。そうした未来の地球環境を守るためのひとつの策となるのが、ふつうはゴミとなる玉ねぎの皮などの農業廃棄物を活かした草木染めです。未来の地球環境を守るためにできることを、まさに今、体験していることを実感した子供たち。「草木染のことを知っておくとよいのはなぜだと思う?」という質問にも、「使い終わったものでも捨てないで次のものに活用できるから」「地球を守ることになるから」「SDGsにつながるから」と次々に口にする理解力の高さにザ・ゴールのスタッフたちも驚きを隠せませんでした。

廃棄されるものから無二の作品が完成!

地球環境を守るためにできることを頭に入れたところで、玉ねぎの皮を煮込んだ染液が完成。この染液に、模様付けのために輪ゴムで縛ったハンカチを浸し、いよいよ染色作業に移ります。袖をまくって手袋をし、茶色の液体にハンカチを入れると、白い布がみるみるうちに薄茶色に染まっていきます。「色が変わったー!」とその変化に喜ぶ子供たち。

15分ほど浸したら染液を絞って、次は色止め液の中にハンカチを投入。すると今度は黄色にハンカチの色が変化していきます。色止め液に15分浸したらいよいよ完成間近です。

水でよく洗い、輪ゴムや中に入れていたビー玉をはずすときはみんながドキドキワクワク。ハンカチを広げると一斉に「おぉーー!」「できたー!」「きれい!」と歓喜の声が教室中に響きわたりました。そして、「こんな模様になったよー!」「丸がいっぱい!」とお互いに見せ合いっこ。

満面の笑みで出来上がった自分のハンカチを見つめる子どもたちに、「みんなが作ったハンカチ、それぞれに違って同じものはないよね。世界でひとつだけのハンカチだから大切にしてくださいね」と声をかけるフタシバのお二人。全員揃っての集合写真では、誇らしげにハンカチを広げる子どもたちの顏が印象的でした。

無事にワークショップを終え、「ふだん捨ててしまう玉ねぎの皮でも染物ができて、ステキなハンカチを作ることができることを知ってもらえたことが嬉しいです」と語ってくださったお二人。一方の子供たちは「他の野菜でも染めてみたい!」と草木染めに魅了された様子。イキイキとした表情で草木染めに挑戦する子どもたちの探求心と、小学2年生にして環境問題についての知識を持ち合わせている情報力の高さを目の当たりにすることで、主催する私たちが地球の未来に期待を感じられる有意義な機会となりました。

夫の関 将史さん、妻の裕子さんともに東京モード学園を卒業。それぞれにアパレル企業に就職したのち結婚。2018年、将史さんの故郷でもある茨城県に拠点を移し、農業廃棄物を染液に使うファッションブランド「futashiba248」を設立。ブランド名の「フタシバ」は、「フタ」には再利用(フタタビ)の意味を込め、「シバ」は茨城県の輪郭が遠吠えする柴犬の姿に似ていることと、二人が柴犬好きなことにちなんでいる。

futashiba248(フタシバ)